アメリカ在住の方で、企業にお勤めの方は、毎年10-11月ごろ、職場のベネフィットとして、翌年の保険の内容を選択する機会があると思います。
この時に、任意でFSA(フレキシブル・スペンディング・アカウント)に加入できます。
実は私はずっと使わずに来て、昨年初めて申し込み、使い始めるのは今年が初めてです。
もっと早くすればよかった。「税金分お得」だとは聞いていましたが、こんなに得とはわかっていませんでした。
皆様には早いうちから得していただきたいです。
次回のお申し込みは、今年の10-11月、または、新規採用された時のみになるかと思いますが、ここに内容をざっと書かせていただきますので、ご参照ください。
お役に立てれば幸いです。
フレキシブル・スペンディング・アカウントとは
フレキシブル・スペンディング・アカウント(FSA)には、2種類あります。一つは、ヘルスケア。もう一つはDependent (扶養者)ケアです。
医療機関にお世話になることが予測できる場合や、子供がいて保育に出費があるとわかっている場合は、税金分を得できるので、利用すべきシステムです。
スペンディング・アカウントの種類2種
ヘルスケア(ヘルスケアFSA)
医療費に払う負担金(自腹分)を税引き前のお給料から先取りしておくものです。
ディペンデントケア(DC-FSA)
プリスクールやデイケアサービスなど、扶養者ケアサービスに払うお金を、税引き前のお給料から先取りしておくものです。
後に別々に紹介していきます。
FSAには、いつ加入できるのか
アメリカで働き先の保険に加入できるベネフィットがある方は、年に1度、翌年の保険の種類を選んで申し込む際に、フレキシブル・スペンディング・アカウント(FSA)に申し込むことができます。
ヘルスケア・フレキシブル・スペンディング・アカウント(ヘルスケアFSA)
医療費、歯科医療費、眼科医療費に、1年間でどれぐらい自腹で払うことになるか、予測して事前に金額を決め、その金額を給与天引き&つみたてていく、という感じのものです。
対象者と支払い対象
自分自身のほかに、扶養者や配偶者の医療費の支払いに使えます。
支払い対象については、医療機関に支払う自己負担金以外に、処方で購入した眼鏡、松葉づえや健康検査機器、処方箋薬はもちろん、パンデミック以後、処方箋以外の薬も対象になりました。また、パンデミック以後、生理用品への支払いもこの対象に含まれるようになりました。
2024年度のヘルスケアFSAの限度額
その、自腹でいくらぐらい払うことになるだろうから、これぐらい必要、と決める金額は、年に1度、この申し込み時に決めることになっており、変更は効きません。
2024年度のヘルスケアFSAの限度額は、3,200ドルです。
税制上、お得
積み立ては、自動的に、所得税(や、payroll tax(給与税))が引かれる前のお給料から差し引かれますので、非課税で、税金分、お得です。
システムと使い方
加入時に決めた金額分を、1月1日から使うことができますが、お給料からは、月割り、またはお給料のサイクルに合わせて、毎週、隔週といった感じで、天引き(自動的に引き落とし)されます。
ヘルスケアFSAの請求方法
- 医療費の領収書をメール、ファックス、オンラインアップロードなどで、申請して、紐づけしている銀行口座へ返金してくれる(=補償請求)というシステムと
- デビッドカードが発行され、医療機関での支払いをこのデビットカードで済ますことができるというシステムの2つがあります。
FSAの対象期間
申し込むと、1月1日から12月31日までに受けた医療に対して使えます。
しかし、パンデミックの影響を考慮し、企業により、
- 最大で翌年の3月15日までの猶予期間を設けてよい(3月15日までに使った医療費に対して使える)
または、 - 翌年へ残金を最大640ドルまで繰り越せる(2024年度分のIRAによる発表です)
(※2023年度分の残金は、2024年度へ610ドルまで繰り越せます)
・・・というどちらかのルールを、企業が選択できることになっています。
両方の選択をIRAは認めていません。また、選択していない企業もあります。
勤め先のルールを確認してください。
未使用の残高はどうなるの
未使用残高はかえってきません。
ただし、上記のように、企業によっては、いくらまでなら翌年へ繰り越せる、限度額付のサービスを提供しています。

退職したらどうなる?
退職前に発生した医療費に対する支払いには使えますが、退職後には使えず、残高があっても返してもらえません。
ディペンデントケア・フレキシブル・スペンディング・アカウント(ディペンデントケアFSA)
基本的な考えはこうです。自分が働けるようにするため、扶養家族をデイケアやプリスクール、学童保育、デイキャンプなどにお世話してもらうのに支払うお金を、1年間分予測して金額を決め、その金額を別口座に天引き&積み立てていく、という感じです。
12歳以下の子供のデイケアやサマーキャンプ、就学前の子供の幼稚園や学校の授業料には使えるけれども、5歳以上の幼稚園や学校の授業料の支払いには使えないというIRAの規定しているルールがあります。
配偶者や高齢者の、自分自身で世話が難しい成人を見てもらうのに必要な支払いにも使えます。
詳細は、お勤め先のHRや、IRAのオンラインまたは直接の問い合わせで確認されてください。
2023年度のディペンデントケアFSAの限度額
いくらぐらい払うことになるだろうから、これぐらい必要、と決める金額は、年に1度、この申し込み時に決めることになっており、途中の変更は効きません。
2024年度分は、最大で5,000ドルまでです.
夫婦の場合は合算で5,000ドルまでです。夫婦で個別申請の場合は、個々で2,500ドルまでとなっています。
税制上、お得
積み立ては、自動的に、所得税(や、給与税)が引かれる前のお給料から差し引かれますので、非課税です。
つまり、税金分、お得です。
システムと使い方
加入時に決めた金額分を、1月1日から使うことができますが、お給料からは、月割り、またはお給料のサイクルに合わせて、毎週、隔週といった感じで、天引きされます。ヘルスケアFSAと同じです。
ディペンデントケアFSAの請求方法
主に補償請求という形になります。
領収書をメール、ファックス、オンラインアップロードなどで、申請して、紐づけしている銀行口座へ返金してもらう方法です。そのため、先払いが基本と思ってください。
対象期間
申し込むと、1月1日から12月31日までに使った扶養者ケアサービスに対して使えます。
しかし、企業により、
- 最大で翌年の3月15日までの猶予期間を設けてよい(3月15日までに使った扶養者ケアサービスに対して使える
または、 - 2023年度分は、2024年へ残金を最大570ドルまで繰り越せる、
というどちらかのルールを企業が選択できることになっています。
両方の選択は認められておらず、また、選択していない企業もありますので、
勤め先のルールを確認してください。
未使用の残高はどうなるの
ヘルスケアFSAと同じく、未使用残高はかえってきません。
ただし、上記のように、企業によっては、いくらまでなら翌年へ繰り越せる、限度額付のサービスを提供しているようです。
退職したらどうなる?
退職前に支払った扶養者ケアへの支払いには使えますが、退職後には使えず、残高があっても返してもらえません。
まとめ
- FSCフレキシブル・スペンディング・アカウントには、ヘルスケアと扶養者ケアの2つがある
- 両方とも、申し込みは年に1回、保険の見直し時。
- 税引き前の給与天引きで、税金分が得
- 年間最大拠出額が決まっている
- 1年以内に使い切らなかった場合、残高は戻ってこない
ぜひうまく利用して、節税なさってください
通勤の交通やパーキング代が自腹なら
FSAのフリンジ(おまけ)として、企業が、Pre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)を提供しているかもしれません。
詳しくはこちらに紹介していますので、通勤費が自腹の皆様のお役に立てていただければ幸いです。