きっかけはこうでした。
車で通勤しています。職場のパーキング代は、以前は会社がある程度カバーしていてくれたけれど、現在は自腹。パンデミック後でパーキング代も値上がり。
そこでなんとか少しでも得できないかなと探していたら、使っている駐車場のアプリに、「Pre-Tax Benefits Cardを使えばさらにお得」と書いてあったのですよ。
Pre-Tax Benefits Card(プリタックス・ベネフィット・カード)って何?
とGoogleしましたよ。そして、会社の特典を調べました。そうしたら、あら、まあ、うちの会社でも提供しているではないですか。
職場で同僚さんたちに尋ねると、もう使っている方もいるではありませんか。
私の働いている会社だけでなく、皆様の会社でも取り扱いがあるのではないかと思います。
「過去は会社がパーキング代をカバーしていたけど、もうしてくれない」「バス代を出してくれなくなった」という、「以前は交通費を出してくれていた会社」は、Pre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)を提供する方向に変えたのかもしれません。
というのは、調べたところ、交通費をカバーしている企業の多くが、「こちらのほうが、会社に節税効果がもたらされる」と感じて、変更しているようなのです。
また、交通費が自腹と言うのには変わりないけれど、このシステムを使って節税できるので、「うちではこのシステムを使えますよ」というのが企業の魅力になると、企業側は感じているそうなのですよ。
そんなことない、交通費をカバーしてちょうだい、と私は思いますけどね、まあ、このご時世、仕方ないですかね。
交通費自腹の皆様、お勤め先のアメリカ国内の会社で、Pre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)を取り扱っているかどうか、調べてみてください。
企業が直接管理、または、401kなどの福利厚生を取り扱う会社に委託しているようです。
では、どんなものか、書いていきますね。
Pre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)とは
皆様、通勤にはいくら自腹で払っていますか?
その金額を、所得税(や給与税)が引かれる前のお給料から引いて、交通費を別口座へ移しておける、それが、Pre-Tax Commuters Benefit(税引き前コミューターズ・ベネフィット)です。
プリタックス(税引き前)のこの口座の種類は2種類あります。
*Pre-Tax Parking(プリタックス・パーキング)は、通勤時に、職場の近くの駐車場を利用、または、通勤時に電車やバスに乗るその駅やバス停まで車で行き、駐車場を利用している、といった場合のパーキングの支払いに使うための口座で、
*Pre-Tax Transit(プリタックス・トランジット)は、通勤時に利用するバス、電車、水上バス、(会社が認めた)乗り合いウーバーなどの支払いに使うための口座です。
ひと月どれぐらいまで取り置きできる?
その金額は自分で決めて申請できますが、上限があります。ひと月280ドルまで。2023年度はひと月300ドルまで認めることを、IRAが発表しています。2024年度分は315ドルまでです。
Pre-Tax Parking(プリタックス・パーキング)とPre-Tax Transit(プリタックス・トランジット)の両方を使う方は、両方のアカウントを利用できるので、最大でひと月630ドル(2024年の場合)まで利用できるとのことです。
たとえば、車で最寄り駅まで行き、そこからは電車で通勤、という方がそれに該当するようですが、それにしても、そんなにたくさん、毎月払いたくないですが。
どれぐらい得できる?
税引き前のお給料から取り分けるため、単純計算で、所得税(+給与税)分、得できるわけですが、英語のサイトで、表にして、ほらこんなに得ですよ、と案内してあったのを見たので、なるほど、このほうが、インパクトがあるなあと思ったので、まねして表を作ってみましたよ。
年収5万ドルで、所得税が25%、駐車場代がひと月150ドルの場合、年間でどれぐらい得か、という仮のデータで算出してみました。
コミューターズ・ベネフィット未利用 | コミューターズ・ベネフィット利用 | ||
年収 | $50,000 | 年収 | $50,000 |
–所得税 | 25% | -年間駐車場代 | $1,800 |
=手取り | $37,500 | =調整後年収 | $48,200 |
–年間駐車場代 | $1,800 | –所得税 | 25% |
=交通費を引いた年間手取り | $35,700 | =交通費を引いた年間手取り | $36,150 |
利用すると年間で$450得をする |
このケースの場合ですが、3か月分の駐車場代が無料になるぐらい得していますね。
申し込みはいつでもできる
保険などのベネフィットへ加入するのは、毎年年に1回限りですが、このPre-Tax Commuter Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)は、いつでも加入でき、金額も、いつでも変更でき、いつでも止めることができます。
ただし、お給料から天引きするので、申請してから、お給料から天引きし、利用できるようにするための期間が必要で、「XX日までに申し込めば、翌月XX日以後から利用可能」という規定があります。その日付は、会社により異なります。
年末が来た、その時どうなる
年末に未使用でアカウントに残ったお金は、翌年へ繰り越せるとのことで、そうしている企業が多いようなのですが、IRAでは、企業が没収してもよいとうたっているとのことですよ。できるだけ利用料だけを口座へとりわけたいものです。
利用方法
このシステムを取り扱う企業または委託会社の多くがデビットカードを発行しているようです。
そのカードを使って、駐車場代や交通費を支払います。
また、領収書をシステムにアップロードや送信して、後程、返金手続きをすることも可能です。


Pre(税引き前)とPost(税引き後)があるのはなぜ?
勤め先によっては、このPost(税引き後)のCommuters Benefit (コミューターズ・ベネフィット)もあります。
ある場合は、どういうことかというと、
通勤代がPre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)の上限を超える場合に備えて、その超える金額をこのPost-Tax(税引き後)のアカウントへ拠出しておく、というためのものだそうです。
たとえば、2024年の場合、Pre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)の上限は315ドルですが、パーキング代が350ドルとすると、デビットカードで315ドルを払って、残りの35ドルを現金または別のクレジットカードやデビットカードで支払わなければなりませんが、
あらかじめ超える35ドル分を、このPost-Tax(税引き後)のアカウントへ、お給料から差し引いて入れておいてもらうことで、デビットカードで一括払いができるようになります。
いかがだったでしょうか、
以上、Pre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)に関する情報でした。
FSAとは?
さて、先に書きました、FSA(フレキシブル・スペンディング・アカウント)ですが、
医療費、または、子供や高齢者のデイケアなどの扶養にかかる費用に払う負担金(自腹分)を税引き前のお給料から先取りしておくもので、所得税(と給与税)分を節税できるというものですが、このPre-Tax Commuters Benefit(プリタックス・コミューターズ・ベネフィット)は、このFSAのフリンジ(おまけ)機能とされています。
↓FSAについては、こちらのサイトに紹介していますので、ぜひご覧ください。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
お勤め先にこのシステムがある方は、ぜひご利用なさってください。