たいてい日本からアメリカへ来たばかりの方は、まずBank(銀行、バンク)に口座を開設すると思うのですよ。
私もそうでした。地元の銀行にチェッキング口座をあけて、人生で生まれて初めてのチェックブック(小切手帳)を発行してもらい、書き方を練習したものです。
それからセービング口座をあけて、コツコツそちらに貯めておりました。
しかしCredit Union(クレジットユニオン、信用組合)の魅力も捨てがたい。
今回はCredit Union(以下、クレジットユニオンと書かせていただきます)のご案内です。利用の際の注意点も書かせていただきます。
銀行とクレジットユニオン ここが同じ
銀行とクレジットユニオンは同じような感じです。
アカウント(口座)には、どちらもチェッキングとセービング、マネーマーケット、CDがあります。
- Checking チェッキング・アカウント
小切手帳や、デビットカードでお金を引き出したり、公共料金の支払い、クレジットカードの支払い、お給料の振込などに使う普段使いの口座 - Savingセービング・アカウント
ちょっと置いておくための口座。チェッキングよりは金利が良い。お給料の振り込みに使う方も。 - Money Market マネーマーケット・アカウント(MMA)
銀行が投資運用するため、キープする残高や引き出しの制限が多少あるものの、セービングとほぼ変わらない自由さがあり、セービングよりは金利が良い。 - CD
3か月から5年ほどの決まった期間、預けて置く約束で、金利が高い、いわゆる定期預金。
何かあった時の補償金額も同じ
銀行が倒産した場合、預金者は、連邦預金保険公社(FDIC)によって、250,000ドルまで補償を受けることができますが、クレジットユニオンではどうでしょうか?
クレジットユニオンの場合は、何かあった場合、預金者は、全国信用組合管理局(NCUA)によって、同じく250,000ドルまで補償を受けることができます。
たいていのクレジットユニオンはNCUAの保険に入っていますが、皆様がメンバーになりたいクレジットユニオンがNCUAに加入しているかかどうか確認したい場合は、以下のリンク先のURLで確認することができます。
全米にある銀行とクレジットユニオンの数
2020年時点で、FDICに登録している銀行の数は約4,377、NCUAに登録しているクレジットユニオンの数は5,398です。(※Statista調べ)
銀行とクレジットユニオン ここが違う
銀行のほうが、ATM網が広かったり、モバイルアプリが充実していたり、金融商品のバラエティがあったり、という充実度が高い場合が多いです。
なぜなら、銀行は、個人所有、または株主のものであるため、銀行業務では利益を上げなければならないのに対して、クレジットユニオンは非営利団体だからです。
クレジットユニオンは、非営利団体
通常、非営利団体というと、寄付で成り立っている慈善団体を思い浮かべますが、クレジットユニオンの場合は、Wikipediaウィキペディアによると、「会員に奉仕することを目的としている」ため、「非営利」なのだそうです。
クレジットユニオンは連邦税を免除されているというのも、私たちが預けるお金の金利が高く、借りるお金の金利が低いという利点に貢献しています。
銀行ではカスタマー、クレジットユニオンではメンバー
銀行では、私たちはカスタマーですが、
クレジットユニオンではメンバーです。
メンバーになるために、たいていどこのクレジットユニオンでも最初に5ドルを入金します。
それぞれの使命の違い
銀行の使命は、カスタマーへサービスを提供することによって、銀行の所有者、株主に利益をもたらすことですが、
クレジットユニオンの使命は、メンバーに可能な限り高いサービスを提供すること、だそうです。
クレジットユニオンのほうが、手数料が低く、金利が高い
非営利団体のクレジットユニオンの使命は、メンバーに可能な限り高いサービスを提供することなので、つまり、銀行に比べて、通常、ローンの金利は低く、手数料は低く、そして、貯蓄商品の金利は高くなる傾向にあります。
ただし注意点があります
たいていのクレジットユニオンでは1年間、入出金の動きのないアカウントは、停止状態にされ、電話や窓口訪問による問い合わせがない限り、アクセスできなくなります。(停止状態)
停止状態が長く続くと、財産放棄とみなされ、国のものとなる(ステイトによりルールは異なります)流れがほとんどのようです。
クレジットユニオンはでは一体何?
銀行と同じような機能を持つ非営利団体で、コミュニティに焦点を当てる傾向をもっています。
そのため、ここの企業に勤めていたらここのクレジットユニオン、この地域で暮らしていたら、ここのクレジットユニオン、というコミュニティ性、メンバー性を持っているので、いくら金利が良くてもそこには自分は口座を持てない、ということもあります。
けれども、このルールは年々緩和の傾向にあり、現在、全米にクレジットユニオンは、約5,200あるそうですが、一部では、メンバーフィーを払う、または寄付をするという形で、50州どこからでもメンバーになり利用できるクレジットユニオンが増えているそうです。
クレジットユニオンの利便性
モバイルアプリやATMは?
利益をアプリ開発などにも使える銀行では、優れたアプリを提供できたり、様々な場所にATMを設置できたり、技術的にクレジットユニオンを上回っている傾向にあるので、銀行を選ぶ人も多いです。
しかし、最近ではその差も小さくなってきました。クレジットユニオンでも優れたモバイルアプリを提供していたり、クレジットユニオン同士が提携して、利用できるATM網ができあがっていたりします。
口座の最低残高維持というものが無い
通常、口座の最低残高維持というのがありません。
日本人が一番びっくりするのがこの口座の最低残高維持ではないかと思います。
たとえば、口座に最低500ドルを維持しておかないと、ペナルティでひと月あたり20ドルが引かれますよ、というようなやつです。
車の保険料が安くなったりする
クレジットユニオンで提携している保険会社があり、その提携している保険会社を使うことで、自動車保険や、家の保険が安くなるようですよ。
事故による死亡保険を無料で提供してもらえる
クレジットユニオンにより、提携している保険会社が違い、メンバーへサービスで提供している保険も違うようですが、私がメンバーになっている2か所では、1つは、Accidental Death & Dismemberment Insurance(事故による死亡、および、身体の一部損失・損傷への保険)を2,000ドルまで支払うという保険に、希望すれば入れ、保険料はクレジットユニオンがカバーしてくています。
もう1つのほうは、Accidental Death (事故による死亡)のみですが、1,000ドルまで(70歳を超えると半額に減額)支払ってくれるという保険で、こちらも保険料はクレジットユニオンがカバーしてくれています。
1,000ドル、2,000ドルでは足りない、と思う方には、プラス1ドルや1.5ドルといったわずかな月額掛け捨てで、もしもの場合1万ドル以上出るものにかえることもできます。
金利が平均より高い
私が2つ目に入ったのは、NASAの職員や家族が利用しているNASA Federal Credit Union(ナサ・フェデラル・クレジット・ユニオン)でした。理由はCD(定期預金)の金利が高かったからです。
オンライン上で申し込み、自分がメインに使っている銀行の口座から、クレジットユニオンへ、メンバーになるための5ドルと、CD(定期預金)のお金を送金しました。
モバイルアプリを使って小切手も自宅からチェッキング口座へ入金できますし、アプリがアイコン使いで分かりやすいので、気に入ってます。
もしもデビットカードやクレジットカードを作るなら、このNASAのクレジットユニオンの場合は、キャッシュバック率が1.5%です。ただし、年に250ドルまでのキャッシュバックという上限があります。(つまり、年間1万6666ドル以上は、使っても、250ドル以上のキャッシュバックはもらえない計算です)
ローンを利用したことが無いのですが
ローンを組む時に、銀行からよりも借りやすく、金利が低いというのが、クレジットユニオンの最大の魅力というのに、私はローンを組むような大きなものを買ったこともなく、まだ利用したことがないです。
しかし、お友達が言ってたのですが、お友達は娘さんに地元のクレジットユニオンに口座をあけさせて、そこから毎月水道代(だったか、ケータイ代だったか忘れましたが)を引き落とすようにしておき、(引き落とした分は、娘さんにキャッシュで返金していたそうです)信用実績を築いておいて、娘さんが大学へ通うために中古車を買いたいと言い出した時、娘さんが自分でクレジットユニオンでローンを組んで、自分で中古車代を払うようにできたと言ってました。
信用を築くと、クレジットカードも作りやすくなりますしね。
アメリカでは最初のクレジットカードを作るのが難しいので、これは良い方法だなと思いましたよ。
近くのクレジットユニオンを探す
職場で推奨するクレジットユニオンが無い場合、お住いの地域の地元のクレジットユニオンを探すのが良いようです。
CreditUnion.govの提供するCredit Union Locatorクレジットユニオン・ロケーターでは、Zipコードを入れると、近くのクレジットユニオンがずらっと出てきますので、内容を見て、メンバーになれるかどうか、使い勝手や金利はどうかなどを検討してみてください。
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全米でクレジットユニオンのメンバー数は1億2,600万人を超えているそうですよ。
アメリカでの生活に、クレジットユニオンを組み入れてみてはどうでしょうか。
銀行のセービング口座、高金利の銀行5選(残高維持ゼロ)をお考えの方は、こちらをご参照ください。